2018年07月03日21:06
豊田市美術館で開催中の「ブリューゲル展-画家一族150年の系譜-」(~7/16まで)を見てきました。
今回の展覧会は16世紀のフランドルで活躍した画家、ピーテル・ブリューゲルから子、孫、曾孫へ続く画家一族の150年をたどるという企画。しかし、初代の作品は彼の下絵による銅版画がほとんどで、二代目以降も初代の模写や形式化した作品が多く、期待外れの内容でした。初代の作品を所蔵するのは概してヨーロッパの有名な美術館なので、地方の巡回展ではハードルが高かったのかもしれません。
また、ブリューゲル一族ではない画家の作品が混在していた点も気になりました。ブリューゲル一族が与えた影響、あるいは受けた影響、さらに、当時のフランドル絵画の状況を語るために必要だったとしても、説明がわかりにくいため、唐突な印象は否めません。キャプションに「参考作品」と記載するなど、ブリューゲル一族の作品と明確に区別するべきだったように思います。
一方、常設展には優品が並んでいてブリューゲル展より楽しめました。豊田市美術館はブリューゲル展の終了後、約一年間休館するらしく、休館前に出し惜しみなく展示しようという趣旨のようです。
展示室に入ってまず目に飛び込んでくるのはグスタフ・クリムトの《人生は戦いなり(黄金の騎士)》。黄金の騎士と黒毛の馬の対比が鮮やかで、兜や手綱のチェック文様も面白い。装飾性に富んだ作品です。金箔を貼り込む技法は日本の屏風絵を意識したものでしょうか。まさしくジャポニズム。
また、エゴン・シーレの《カール・グリュンヴァルトの肖像》も印象深い作品でした。見下ろすような構図は肖像画では珍しい。エゴン・シーレの描線は対象の内面まで暴き出すようで、時に醜悪さすら感じさせますが、かえってそれが魅力的に思います。この作品でも存分に発揮されています。
当初の思惑とは違ったかたちになりましたが、展覧会は満喫できたので、良しとしましょう。
ブリューゲル展≫
カテゴリー │展覧会
今回の展覧会は16世紀のフランドルで活躍した画家、ピーテル・ブリューゲルから子、孫、曾孫へ続く画家一族の150年をたどるという企画。しかし、初代の作品は彼の下絵による銅版画がほとんどで、二代目以降も初代の模写や形式化した作品が多く、期待外れの内容でした。初代の作品を所蔵するのは概してヨーロッパの有名な美術館なので、地方の巡回展ではハードルが高かったのかもしれません。
また、ブリューゲル一族ではない画家の作品が混在していた点も気になりました。ブリューゲル一族が与えた影響、あるいは受けた影響、さらに、当時のフランドル絵画の状況を語るために必要だったとしても、説明がわかりにくいため、唐突な印象は否めません。キャプションに「参考作品」と記載するなど、ブリューゲル一族の作品と明確に区別するべきだったように思います。
一方、常設展には優品が並んでいてブリューゲル展より楽しめました。豊田市美術館はブリューゲル展の終了後、約一年間休館するらしく、休館前に出し惜しみなく展示しようという趣旨のようです。
展示室に入ってまず目に飛び込んでくるのはグスタフ・クリムトの《人生は戦いなり(黄金の騎士)》。黄金の騎士と黒毛の馬の対比が鮮やかで、兜や手綱のチェック文様も面白い。装飾性に富んだ作品です。金箔を貼り込む技法は日本の屏風絵を意識したものでしょうか。まさしくジャポニズム。
また、エゴン・シーレの《カール・グリュンヴァルトの肖像》も印象深い作品でした。見下ろすような構図は肖像画では珍しい。エゴン・シーレの描線は対象の内面まで暴き出すようで、時に醜悪さすら感じさせますが、かえってそれが魅力的に思います。この作品でも存分に発揮されています。
当初の思惑とは違ったかたちになりましたが、展覧会は満喫できたので、良しとしましょう。
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